九州電力柔道部 イタリアに進出します!!
……すみません、興奮のあまり、いろんな情報を端折りすぎました。
正しくは、九州電力柔道部の七戸 龍(しちのへ りゅう)さんが、イタリア・ナポリにある柔道クラブチーム「ニッポンクラブ・ナポリ」のコーチに就任することになりました!!
七戸さんは今、ナポリにいます。
イタリアで? 柔道の? コーチ? と思われた方も多いはず。まずは七戸さんについて紹介します。七戸さんは1988年沖縄県生まれ。大学在学中に全日本学生柔道体重別選手権大会の100kg超級で優勝し、2011年に九州電力に入社しました。その後、体重別で競われる柔道の最も重い階級「100kg超級」の日本代表選手の1人として世界を舞台に長く活躍し、日本柔道界を牽引。オリンピック出場は叶いませんでしたが、2014年の「グランドスラム・パリ」金メダル、さらに柔道世界一を決める「世界柔道選手権」では、2014、2015年と2度の銀メダルを獲得しています。決勝戦の相手は2年連続でフランスのテディ・リネール選手。オリンピック金メダル5個、世界選手権金メダル11個を誇る、あの“絶対王者”リネール選手とも激闘を繰り広げたトップ選手です。
そんな七戸さんが所属している九州電力柔道部の歴史は古く、本格的に活動を開始したのは今から60年前、1966年のことです。九州屈指の強豪チームとして実績を残し、日本柔道界の最高峰である実業団の団体日本一を決める「全日本実業柔道団体対抗大会」で3位に入賞したこともあります。大会での実績もさることながら、九州電力柔道部は地域共生活動として柔道の普及活動にも力を注いでおり、小中学生を対象にした柔道指導や初心者向けの柔道教室などの活動を継続的に実施。2026年3月からは、子どももシニアも、経験者も初心者も、誰でも参加できるオープンプログラム「きゅうでんJUDOみんなの練習場」を毎週土日に開催しています。
七戸さんは2023年に現役を引退した後も、九州電力柔道部でコーチとして後進の指導にあたりつつ、全日本柔道連盟「アスリート委員会」の一員として、競技の発展にも携わっています。全国各地の柔道教室に参加したり、海外で短期的な指導を務めたりと大忙し。そんな七戸さんの国内外での指導経験や競技実績が評価され、イタリア柔道連盟から九州電力柔道部に「七戸さんを、イタリアの強豪クラブチームのコーチとして、ぜひ派遣してほしい」という要請が入ったのです!
ヨーロッパでJUDOが人気の理由
七戸さんや九州電力柔道部のことがわかったところで、次はイタリアと柔道の関係について。イタリアでスポーツと言えば、真っ先に思い浮かぶのはサッカーでしょうか。最近はバレーボールでも日本人選手がイタリアのチームで活躍していますよね。柔道とイタリアが結びつかない人は多いと思います。
ところが、
「ヨーロッパでは日本以上に柔道が盛んなんですよ」と七戸さん。
ヨーロッパではスポーツとしてだけではなく、挨拶や礼儀を重んじる武道として教育的価値が高く評価されており、柔道のクラブチームがたくさんあるのだそうです。ヨーロッパの中でも一番盛んなフランスでは、競技人口はなんと日本の約4倍。イタリアでの競技人口も日本とあまり変わらないのだとか。
ロスオリンピックのメダリストを育成
トップクラスの選手層も厚く、2016年のリオデジャネイロオリンピックでの金メダルをはじめ、世界選手権や欧州選手権でイタリアはメダルの常連国になっています。七戸さんがコーチとして派遣される「ニッポンクラブ・ナポリ」はイタリア屈指の強豪クラブで、2026年の欧州選手権男子イタリア代表9名のうち5名がこのクラブの所属。七戸さんの派遣は2028年9月までの2年間の予定で、重量級の選手を中心に指導します。
「日本だけが強ければよいのではなく、世界中で柔道を発展させ、切磋琢磨しながら日本の柔道を強化するという考えで、全日本柔道連盟は海外にコーチを派遣しています。その考えに共感して今回の要請を受けることにしました。2028年の夏に開催されるロサンゼルスオリンピックで『ニッポンクラブ・ナポリ』の選手が結果を残せるように指導していきたいです」と七戸さんは意気込みを語ります。
英語を猛特訓中
「ニッポンクラブ・ナポリ」に所属している選手やコーチはみんなイタリア人。指導は基本的に英語で行うことになるそうで、語学力も見込まれてのコーチ派遣要請だったのかと思いきや、「英語は勉強中です……」と七戸さん。七戸さんの母親はベルギー出身なので日常会話に困らないレベルでは話せるものの、指導となると選手とのより深いコミュニケーションが欠かせません。
「イタリアに行くことが決まってからは空き時間にスマホで勉強したり、ベルギー人の母親との日常会話を英語にしたりして、必死で勉強しています。イタリアに住んで長期的にトップレベルの選手を指導できるチャンスなんて、なかなかあるものではないので『もっと英語が話せれば……』って後悔したくないですからね。指導といっても日本のやり方を押し付けるのではなく、イタリアの“JUDO”をまず私が理解して、そのやり方を尊重しつつ、日本の柔道で培った私の経験を伝えていきたいです。イタリアにいるのは2年間の予定ですが、イタリアで学んだことを持ち帰り、日本の柔道にも還元したいと考えています」(七戸さん)
経験豊富な七戸さんが九州電力柔道部から一時的に離れてしまう2年間は寂しくもありますが、熱い想いを胸に秘めた七戸さんのチャレンジを、キューデングループも九州電力柔道部も全面的にサポートします!
現地からのレポートに、こうご期待
奇しくも今年は日本とイタリアの国交樹立から160周年。両国の関係が「特別な戦略的パートナーシップ」に格上げされ、国家レベルでも草の根活動でも、いろんな分野で交流が活発になっています。七戸さんの挑戦をきっかけに、九州電力柔道部としても柔道を通じた両国の交流や競技力向上にどのような形で貢献できるかを模索しているそうです。
「クラブでの指導だけではなく、ナポリでの暮らしも楽しみです。一緒にイタリアに行く子どもといろんなところを訪ねてみたいです。母方の祖母がベルギーにいるので、機会を見つけてベルギーにも行きたいですね」と目を輝かせて語ってくれた七戸さんの挑戦は、まだ始まったばかり。イタリアでの出会いや学び、現地での活動やイタリア・ナポリでの暮らしのリアルを、KYUDEN GROUP VOICEではこれからも定期的にリポートしていきますので、お楽しみに!
